夢と現
「あぁぁぁぁっ!!」
 自分の叫び声で目が覚める。荒い呼吸を繰り返す。
 また…ソードを殺す夢……
 夢の中で、私は当然のようにソードを殺す。そして、ソードも当然のように私を殺そうとする。
 もちろん…天使と悪魔である以上、それは正しいことだ。
 だが…………
 夢の中で私はソードを殺した返り血を浴びて…そして正気に返り、叫びをあげる。
 今の私は…おそらくソードは殺せない。
 決着はお互いの体が元に戻ってから。そう言ったけれど…
 今の私は…ソードを……

 それは私自身を苛む夢。


「双魔……」
 そう言ってくちづける。
「…ん…神無…」
 甘んじてそれを受けて入れている双魔。
(これ、は…人間、天野神無の記憶……?)
 戸惑い、考えているうちに2人の行為は進んでいく。
「かん、なぁ…」
 双魔のその姿が、ソードとだぶる。
 その媚態が目につき、離れないまま…目が覚める。
「…双魔…ソード…」
 吐き出される、熱いため息。
 そういう意味でソードのことを考えたことが、ないわけではない。
 けれど…天使として、それは考えないようにしていた。
「でも、やっぱり…限界ですかね…」
 ふとした拍子に気付かされる。ソードへの想いを…幾度も…
「どぉしたんだ? イオス。いくら休日でもこんな時間まで起きてこないなんて…
 まさか、天使のおまえが病気かぁ〜?」
 からかうように言ってくる。
「…いえ、ただ夢見が悪かっただけですよ」
 心を落ち着けて言葉を返す。
 本当に…冗談にならない夢見。
 ひたすら感情をひっかきまわしたあげくに…その直後に当の本人なんて…
「でも…ホントにサギだよなぁ…この部屋の差」
 まだそのことをあきらめていないのか、呟くソード。
 入り口に立っているソードに、
「入ってきます?」
と、声をかける。
「当たり前だろ」
 そう言って遠慮なく入ってくるソード。
 当然といえば当然なのかもしれないが、無防備なソードは私が起きあがっただけのベッドに腰掛ける。
 夢の中での双魔の媚態はまだ脳裡から離れていない。
 天野神無の心が双魔に飢え、私のソードを求める心が抵抗しきれず…体が求める。
 止められなかった。
「ソード……」
 引き寄せて抱きしめ、くちづける。
「イオス?!」
 後ずさろうとするソード。もっとも、私が抱きしめているためにそれはかなわないが。
 くちづけを深くしながら押し倒す。
「っ…!!」
 唇を離した途端、飛んできたのは罵声だった。
「てめー、イオスっ?! 天使が何考えてやがるっ!!」
 キスのことだけではない。ソードが着ているシャツが半分めくれあがっている。
「ソードのことだけを」
 唇に軽くくちづける。
 そう言えば普通は気付くものだが…今までの関係と、そして、ソードがあまりにもにぶいことにより、それはひたすら誤解された。
「オレに精神的にダメージを与える気か?」
 その唇を強引に塞ぐ。
「あいにくと、私はそんな理由で抱くほど酔狂じゃありません。
 大事に思えるからこそ、欲しくなって…手放せないだけです」
 そして、また、深いくちづけ。
「…二度と、天界に還れなくなっても知らねぇぞ…?」
 返ってきた言葉は拒絶の言葉ではなくて…
「ソードといられるならかまいません。
 たとえ、天界に還れなくても。天使に戻れなくても…」
 さっき、中途半端にまくりあげたシャツを、今度はしっかりとまくりあげる。
「別にっ… オレが望んでるんじゃなくて、この体の持ち主が望んでるんだからなっ…」
 そう言ってそっぽを向く。
 そんな仕草をするソードは本当にかわいい。
 わかっているのだ。ソードはそれが本当に嫌ならば、体の持ち主の意志だろうと無視して抵抗する。少なくとも完全に拒絶されているわけではないらしい。
「今は、それでいいですよ…」
 呟き、その肌にくちづけて…
 そして、その体を愛おしんでいく。
 わずかに性急になっている自分に対し、
 まるでケダモノのようですね…
 自嘲気味に思う。
 それでも、ソードに対する想いは強く、抑えることなどできない。
「あなたを…愛している…」


 悪魔に心を奪われてしまった自分は天界に戻ることなど出来ないだろう。
 それでも…後悔はしていない。
 それが…夢と現実の間で手に入れた真実。


 な〜んか…始めはこんな予定じゃなかったんだよなぁ…
 まあ、あらすじしか決めずに書くんだから当然か…(^_^;)
 特にイオス。襲ったはいいけど…最後にうまく繋がんない。
 もともと考えてたのがソード殺す夢と神無が双魔襲う夢の2つだったし… いやまあ…イオスにソード襲わせるのも予定のうちだったけど…
 ちなみに…「二度と天界還れなくても知らねぇぞ」ってのを言わせたくて作ったの(爆)
 キャラの性格が壊れてるのは言わないで(^_^;) 嫌ってほど自分でわかってるから(^_^;) ついでに文章……ホントはちょっと流れ気に入らないんですが……なんかこれ以上よくならないので(^_^;) まあいいかって…妥協しました(^_^;)
 あ、本文中のいいわけ。ソード、イオス好きです なんだかんだ言いつつ。でもソードには自覚なし そのつもりで書いた
 あと、イオスちょっと…誤解したときに怒ってます 見えないかもしれないけど
 そうそう、イオス、天界に還れないけど、ソードの態度に不安で、ソードは魔界に還って自分だけ残されるんじゃないかとか考えて、夢に影響されてソードと心中しようとするってのも……ちょっと考えたけどやめました
 この中でも神無×双魔書いたけど、もう1つ別ので神無×双魔書きたくなったのでかいちゃいます(爆)
 それではっ!

  (裏)