そのままで
(…や、ばい…か?)
熱を帯びている体を持て余しながら思う。
抑えられる自信は、ない。
なにしろ、いつも体の奥でくすぶり続けているのだから。
「神無ー、あのさぁ」
そこに、タイミングがいいのか悪いのか、双魔がやってくる。
風呂上がりなのか、ズボンと、肩にバスタオルをひっかけただけの出で立ちだ。
誘ってるのかと思えるほど無防備だから手に負えない。
「ばかっ。湯冷めするぞ!」
そう言って、厚手のトレーナー(もちろん神無の。だからだぶだぶゥ)を頭からかぶせて、自分のベッドの中へと入れる。(連れ込んだわけではない(笑))
「ん、ありがとう。神無」
にこにこと笑う双魔からそっと視線を外す。
さっき、見えた白い素肌…
(目の猛毒だな…)
そして、目だけではなく、体に対しても…
「なんか、用だったのか?」
何でもないふりをして問いかける。
「うん。あのさ、神無。学校、行きたくないかもしれないけど、せめて卒業できるぎりぎりぐらいは行った方がいいんじゃないかな、って。
せっかく入ったんだから、卒業の肩書きぐらいはあった方がいいんじゃないかと思って…」
「おまえも、説教するのかよ…」
面倒そうに問い返す。
「あ、いや、説教とか、そんなつもりじゃなくてね。
それに、神無本当はそうじゃないでしょ。
本当は優しいこと、ぼくが一番よく知ってるもん」
しどろもどろになりながらもしっかりと答える。
(今、下心を持っているんだと知ったら、どういう反応を返すんだろうな…)
そう思ってしまったら止められなかった。
本人に自覚がないとはいえ、ただでさえ挑発されていたのだから。
「双魔……」
華奢な体躯を抱きしめ、強引に唇を合わせる。
なぜか双魔は抵抗しない。
真っ白な肌に散る、紅い所有印。
「声、聞かせろよ」
そう言って愛撫を加える。
そんな言葉に双魔はふるふると首を振る。
しかし、快楽に抵抗しきれずあがる声。
「かんな……っ…ふ、ぁ…」
それは、今までに聞いた双魔のどの声とも違っていて…
余計に欲望に火をつけられた。
「双魔…」
ズボンの中に手を滑らし、昂りはじめているそれをにぎる。
びくり、と震える双魔。
「大丈夫だ」
唇にキスを落とし、今度はそれに舌を這わせる。
「あ…やあ…っん…」
ひどく、甘い声。
唇をさらに滑らせ、最奥を濡らす。
十分にそこをほぐしてから、体を重ねていく。
「かんっ、な…!」
つらそうな声。
双魔の弱い部分を責め、快楽へとすりかえようとする。
「…は…あ……」
こぼれる吐息。
双魔の色気に限界を感じ始め、自らも快楽を追い始める。
「っ…!」
はじけたのは、同時だった。
「神無、何があったかしらないけど、落ち着いた?」
声が多少かすれてはいるものの、全く冷静な口調で問いかける双魔。
「双魔っ! おまえ…なに平気な顔してんだよっ…!」
自分がしたこととはいえ、まるで、何もなかったかのように…
「………神無には関係ないよ。
それよりもさっきの質問の答えは? 落ち着いてないっていうんなら、他に何でもするよ?」
まるで事務的な口調。
「あのなぁ。落ち着くも何も…普通何とも思ってないやつを、衝動的に抱けると思うか?」
「神無なら抱けると思うけどね。朝帰りしたことも一度や二度じゃないはずだし」
あっさりと言い返される。
「…まあ…確かにオレは遊んでたよ。否定はしないさ。でも人より多く遊んだって程度だよ。
衝動的に欲情するのは、双魔だけなんだよ。
それよりも…言ったからには答えてもらうが……
オレには関係ないって…どういうことだ?!
まさか、おまえ誰に抱かれてもあんな風だってのかよ?!」
それは、今までに見たことのない…俺の知らない双魔であったことと、嫉妬とで、思わず声を荒げてしまった。
「ばかにしないでよっ!
誰が…体なんか許すと思うんだよ!
でも………神無は特別だから。だからだよ。
そうじゃなかったら、たとえ力がかなわなくても、死んだって抵抗するよ!
神無だから…抵抗しなかった。許した。それだけだよ」
そして双魔も声を荒げる。
2人とも怒っているので、お互いの言葉の中に隠された感情に気付かない。
「なら、オレが落ち着くまで抱かせてくれるのかよ?」
そう言って双魔の顔に触れる。
「何度でも抱けば? そのかわり…その後は2度と何もしないでよねっ!」
その目からこぼれ落ちる、透明な涙。
「あれ…? ぼく……」
そう言っている間にも次々にと落ちていく。
それはあふれてあふれて…双魔の顔をぐしゃぐしゃにした。
「…悪かったよ…言いすぎた。無理矢理抱いて、ごめん」
泣きじゃくる双魔を抱きしめる。
「…ちが…そうじゃなくて……っく、
神無悪くないよ。ぼくが…」
「双魔。いいからまずは泣き止みな。
何言ってるのかわからねぇし。
こうしてて、やるから」
双魔を抱く手に力を込める。
そんな状態でしばらくして、やっと双魔が口を開く。
「ごめんね、神無。いっつも迷惑かけてばっかで」
「別に迷惑じゃないさ」
(状況的には、あるまり歓迎したくはないけど、な…)
体を重ねた後に、抱きしめるなんて状況は…
「でも、つらそうだよ」
そう言って、双魔はわずかに熱を帯びていた神無のそれに触れる。
「そ…双魔っ?!」
さすがに戸惑う神無。
「神無のこと、好きだよ。そういう意味で」
神無の首に腕を回す双魔。
さすがに真っ赤になった顔はそらされていたが。
「だから、抱かれても平気だけど…
でも、あんまり抱かれたらつらいよ…」
双魔のその言葉に、
「心配するな。確かに…オレ自身の想いに驚いて、遊びまくったこともあるけどな。
自主的に抱いたのは双魔が初めてなんだ。
双魔だけを、想ってる」
と、答える神無。
くちづけて、舌を絡ませる。
あふれ出た唾液を舐め取り、まだ情交の残る体に、赤い痕をつけなおす。
「神無が、一番好きだよ…
っん…あ……はぁっ…」
一度のぼりつめたせいで、体は敏感になっている。
神無とて、それは同じだ。
(さっきのなごり、残っているだろうし…大丈夫、だとは思うがな。多分…)
自分の体を止められず、双魔の中へと沈めていく。
「か、ん…なぁ……」
いっそう強く神無にしがみつく双魔。
そんな双魔を抱き返し、軽くキスをして、そっと腰を使い始める。
「…ふぁ……ぁう、んっ…」
「ずっと、双魔だけが欲しかった…」
言葉と共に吐き出される熱い吐息。
迎えた絶頂は、それよりももっと熱かった。
「もう1回、風呂に入って来なきゃダメになったな…」
苦笑混じりに言う神無。
「…そうだね…
神無も一緒に入る? 神無、お風呂まだでしょ」
2人の関係が変わっても、双魔の無防備さは変わらなかった。
もっとも、双魔らしいといえばらしいのだろうが…
「あの、な…。そういうこと、不用意に口に出すな。
誘ってるように聞こえちまうからな……」
さらに苦笑する神無。
「ごめん…」
それに謝る双魔。
「いいよ。双魔はそのままでいいから。
おまえはずっとそのままで、オレの側にいろ」
そっと抱きしめた小さな肩。
それがいつも、この手の中にあるように…
な…なんかけっこう、予想外の展開…(^_^;)
まさか2回もするなんて思わなかった…自分で書いてて驚いた 双魔に誘わせちゃったけど…双魔には無理かなぁ…と思いつつも書きたくて書いちゃいました(爆)
あともう一つ、なんか……冷静なふりしてるのが…すっごく冷たいように聞こえる…失敗したかな(^_^;)
それよりも…神無です 俺はコミックで読んでて、本屋が遠いのでまだ6巻手に入れてなくて…神無の言動を把握しきってないので…めちゃくちゃです(^_^;)
でも一番予想外だったのは…この長さかな(^_^;) なんでいつのまにこんなに増殖したんでしょーね(^_^;)
あ〜〜う〜〜書くもの溜まりすぎてるのに……
頑張って次にとっかかりま〜すっ
(裏)