世界
「L様、フィブリゾとガーヴを復活させたいのですが…」
ひざまづき、私の部下の1人、シャブラニグドゥが意見する。
もっとも、1/7に分割されたうちの2人なので、2人いるが…
「それが…本来許されぬこととわかっているのだろうな?
均衡を不均衡へと変えることだぞ?」
威厳を込めて言い放つ。
(…何より、私の仕事が増えてしまうしな…)
心の中で付け加える。
もちろん、許されないことくらい、2人のSにもわかっていた。しかし…
「私達の元人間の部分に感化されたのです。愚かなこととはわかっておりますが…大事な部下なのです」
腹心達に言った言葉を再び言う。
「魔族の存在意義からすれば愚かなことだろうがな。
人間も魔族も元は私から分化したもの。そんな感情を持つ可能性はなくもない。特におまえ達は人間の中に封印されていたわけだからな。わからなくもない。
だが…人間であった時も許されないことだったはずだ。
魔族になったから…私に会えるからといって許されることではない。
その代償はどうする? それともあきらめるか?」
もちろんやろうと思えば簡単に出来る。しかし部下の頼みとはいえ、所詮は部下の部下程度を復活させるのにわざわざ労力をさくのもめんどくさい。
代償は単なる暇つぶしのためである。
さすがに返答に困って、2人のSは黙っている。
「……私と一週間デート………」
ぼそっとレイ=マグナス=シャブラニグドゥが言う。
「デートが代償とはどういう意味だぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
懐にしまってあるアイスピッケルを取り出し、レイ=マグナス=シャブラニグドゥに振り下ろす。
ずぶしゅっ!!!
「……こういう意味……」
さらに呟くレイ=マグナス=シャブラニグドゥ。
隣ではリナ=インバース=シャブラニグドゥが納得していた。
そして私は再びアイスピッケルを振り上げる。
ぐさっっ!! ズバッ!! ぐわしゃっっっ!!!
(星:…ただいま人間には理解を越える展開が広がっているため、ここより数分カット……ぐしゃっ!! ← アイスピッケルがここにも……)
2人のSに制裁を加えた後、私は少々赤くなった顔を隠すように2人のSに背を向ける。
(星:…あれだけやられてL様を見れるほど2人のSは丈夫なの……ずしゅっ!)
…ここで血だらけで倒れている星は無視しておいて…
はっきし言って、これでも私は純情な方である。
周りにいる男と言えば部下ばかりで、私を『母』として見ている。
こんなことを言うのはレイ=マグナス=シャブラニグドゥぐらいなのだ。
「蘇りは黄泉還り。異界では伝説などもできているらしいし、それをやってみるか?」
ふと、提案してみる。
『伝説?』
「ああ、愛しい人を黄泉に迎えにくるんだ。運良く現世(うつしよ)に連れ帰ることを許されるんだが、条件を1つつけられた。現世に出るまでに振り返ってはいけないと。
結局、不安に駆られて振り返り、その相手は黄泉に戻されるんだがな。
もう一説では、振り返ったときの姿が腐り果てていて、迎えに来た者が逃げ出したとも言われている。
おまえ達、それを試してみる気はないか?」
…はっきり言って、これは暇つぶし以外の何でもない。
さて、2人がどう反応するか楽しみだ。
「…おそれながらL様…私達は精神世界(アストラル・サイド)を渡ってしまうので意味ないと思うのですが…」
進言する、リナ=インバース=シャブラニグドゥ。
……………おもしろくない………
「もういい! ほら、フィブリゾとガーヴの魂だ。勝手に持って帰れ!」
そう言って、フィブリゾとガーヴの魂を押しつける。
『あ、ありがとうございます』
戸惑いながらも返事をして帰ろうとする。
その背中に語りかける。
「ああ、部下S」
2人のSが同時に振り返る。
「レイ=マグナス=シャブラニグドゥの方だ。例の件、忘れるなよ( ̄ー ̄)」
にやりと笑う。再び戸惑うS。
「デートだ。楽しみにしているからな( ̄ー ̄)」
レイ=マグナス=シャブラニグドゥは、驚いたまま、リナ=インバース=シャブラニグドゥに引きずられ、去っていった。
本当は予想外の出来事だった。
混沌(私)から分化したものが予想できない行動をとる。
まだこの世界も捨てたものではないな。
思い、笑う。
この先どうなるかはわからない。傍観を決め込むとしよう。
広き混沌の中、笑うはただ1人
其(そ)は闇の王、全ての母
想うは予想のつかない世界の行く末…
…わけのわからん終わり方してしまった… …いつものことか…(^_^;)
終わりの、「広き〜全ての母」の部分は気に入ってるんですけどね(笑) 最初、「想うは〜」は違う文章でした けど、思いっきり気に入らなかったから… とりあえずこっちはまだ気に入ってるからいいか、って思ってね…
なんというか…根底に、L様はだいたい何が起こるかわかるんです 自分から分化したものだから それが今回は予想つかなかった=別のもの という感じです。最初、「想うは〜」は、「世界は彼女の手を離れようとしているのだろうか…」って文章だったんですよ… 個人的に思いっきり気に入らなかったから…(笑)
最初の予定では、L様が、部下Sがふざけたことを言い始めた みたいな…そんな感じで書くつもりだったのに…最後にはやっぱり認めるんですけどね それが…こんなギャグになっちゃって…(^_^;) LゥS入ってるし…(笑)
だいたい、L様の口調が変 書けねーよっ!(なら書くな(笑))
この次書いたら、またしばらく凍結かな……
さっさと次書くぞ〜 というか、打ち込むぞ〜(つまりすでに出来ている(笑))