「ロザリー」side A
「あの、リアさん…」
プロンテラのいつもの場所、なぜかおずおずとBSに話しかけるアコライト。
「なんだ、アリステラじゃないか。どうした?」
「代理購入、お願い出来ませんか?」
「構わないけど、何が欲しいんだい?」
「ロザリーを一つ、お願いしたいんです。
本当は自分で買えばいいんでしょうけど、少しでもお金をきりつめたくて…」
申し訳なさそうにアリステラが言う。
「気にすんな、って。あたしはそれが仕事なんだから」
どうってことない、と答えながらも、ちょっとした疑問を感じ、もう一度口を開く。
「けど、あんたが今装備してるそれ、ロザリーじゃないのかい?」
リアがそう言った瞬間、アリステラが焦った。
「いえ、その、そうなんですけど、でもこれは…出来れば使いたくなくて…っ」
ジョブレベルも30を迎え、アコライトの唯一の攻撃魔法、ホーリーライトを覚えようと思った。
けれどその為に必要とするロザリーは、ホーリーライト収得後には無くなってしまう。
「大事な人からでももらった?」
にやにや笑いながら問いかけるリア。
「はい、とても大事なんです」
意識せず、にこやかに答える。
それは、見ているリアの方が照れるくらいで。
「…わかったよ、じゃあ買ってくるから」
と、そそくさと大聖堂へと向かった。
その仕草で、もしかしたら誤解されたのかもしれない、と初めてアリステラが気付く。
もしかしたら、そこまでこだわらなくても使ってもよかったのかもしれない。
自分の渡したものが役に立ったのだと知れば、彼女は喜んでくれるだろう。
けれど、自分が使いたくなかった。
確かにこれは、自分が長年身につけていたロザリーではない。
そのロザリーは、村を出ると言った幼馴染みの無事を願って彼女へと渡した。
今装備しているものは、かわりに彼女がそれによく似たロザリーを、とお返しだと言って私にくれたものだ。
なんとなく、それが彼女との約束の証になるような気がして。
彼女に何かあったら、それが報せてくれるような気がして。
結局、村を出てから肌身離さず身につけていた。
常にロザリーを装備しているからと、敬遠な信者だと思われたことも何度かある。
でも、本当は、そんなに神様を信じてはいない。
村が魔物に襲われた、あの日から……。
欲しいのは、みんなを守る力。プリーストを目指したのはそれが理由であり、必要だったから。
いつか、村に帰るその日まで。彼女との約束を、果たす日まで。
とりあえず、ROでの第一作です。
突如思い浮かんで書いてしまいました(笑) ちなみにディシアさんサイドの話もあります。
約束とかそこらへんに関しては、過去話もそのうち書くつもりはあるので、そちらで書いていこうと思います。まだ設定が煮詰まってない部分もあるので、そっちは大分後になるかと思いますが…(^_^;)
とりあえずその前にディシアさんサイドのお話をば(笑)