魔法珠 〜Magic・Soul〜 4
4.
「これが…魔法珠…?」
ここは操焔都市【デウリス】。その焔の神殿。
魔法珠の見た目は普通の水晶球だった。紅の色の。
「手に、とってみて下さい」
そう言われて触れてみる。
「ペンダントが!」
魔法珠と六芒星のペンダントが呼応する。
魔法珠は ふっ… と空に溶け、それは六芒星の中心へと流れ込む。
「この魔法珠は…焔の力を封じてあったのか…」
「わかるんですか?」
「ああ、ペンダントを通してあたしの中に流れ込んできたんだ」
「そう、その魔法珠には焔の力を封じてありました。
そして、それがここが操焔都市と言われる由来です」
(じゃあ、ここはもう……)
「悪い。何も知らなくて…。
操焔都市【デウリス】は失われてしまうんだな…」
「いいえ、いいんです。ほとんどの人々がこの都市の由来を知りません。
それに…、いつかこんな日が来るような気がしてたので…」
「本当にすまない」
「すみません、私も魔法珠が都市の由来になっているなんて知らなくて…」
「2人とも、本当にもういいんです。
それに…、その分を補おうとすることもまた、大切なのですから」
そうは言われたけど、やはり後味が悪かった。無知は自分の責任なのだから。
焔の神殿を出てしばらく歩くと、キアルスがそっと声を掛けてきた。
「仕方…ないですよ。
サラズィアさんの記憶を取り戻さなければ…。
それに、あの人も言っていたでしょう。それを補うこともまた大切なのだ、と。確かにそうなのですから…。
時々、何かを犠牲にしなければならないこともあります」
(そして…、その原因を作ったのは、他でもないこの私だから……)
「そう…だな。
それにあたし達もその失った何かを補わなければいけないことも出てくるかもしれない。
それを教えてくれたあの人に感謝しなきゃな」
「ええ。人は前を向くことによって、強くなれますよ」
(そう、サラズィアさんが落ち込む必要はない。
むしろ私の方が……)
「おまえも落ち込んでいたのに、すまない。
余計に気を遣わせちまって」
(そうだ。キアルスはちょっとしたことで落ち込んだりする。
この前の…私の記憶のことの様に…)
このシリーズしては、珍しくシリアスシーンです おかげで暴走もありませんでした
もともと全部つなげてあったんで、今回の終わり方ちょっと中途半端っぽいですね…
でも、ちゃんと5につづいてるんです 4が途中なわけではありません
ですので、安心して(?)5をどうぞ
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