凍てついたものは…
「キリランシェロ…」
「ハーティアか」
呼びかけに答えて振り向くオーフェン。
「ああ」
さっきまではいなかった。転送の魔法陣を使って来たのだ。
「おまえの知り合いは変わったやつが多いな…。特にあの金髪娘。
どうにかならないのか? 彼女の説明不足のせいで、僕は君の子供が産まれるのかと思ったよ」
言いながら苦笑するハーティア。
「あいつのおかげで、『言っても無駄』って言葉をよく思い知らされたよ。
マジクが言うには類友らしいが…納得はできねぇな」
同じく苦笑するオーフェン。
しかし、急に真剣な表情へと変わる。
「で、本命は何だ?
『塔』が全てのおまえが、世間話をするためにオレに会いに来るはずはないからな。今度はおまえが刺客か?」
オーフェンが戦闘態勢をとる。
「別に『塔』が全てってわけでもないけどね。でも、『塔』からの刺客ってことは思いっきり否定させてもらうよ」
それを聞いて、オーフェンはその体勢を解く。
「おまえは、ごまかすことはしても嘘はつかないやつだったからな。信用してやるよ」
「すまないな。
本当の理由は…おまえに警告をしにきたんだ。
おそらく…『塔』はおまえが『アザリー』の件から手を引かない限り、刺客を送り続ける。だから……
頼む。死なないでくれ!
最初は…おまえに手を引かせるつもりだつたけど…おそらく、無理だろう?
おまえはそのために『塔』を出、『キリランシェロ』から『孤児(オーフェン)』になったんだからな」
「そうだ。ここでアザリーを見捨てたら、オレが『塔』を出てからの間のことが無駄になるからな。オレがアザリーを助けるんだ!
そのためには…死ぬなんてしないから、安心しろよ」
敵同士でありながら、お互いを想う。今の二人の心は、『現在』よりも『過去』に近い。
「もっとも、僕にはそんなキリランシェロの気持ちはそれほどよく理解できないけどね。
なにしろ、彼女にはいろいろやられたからね。随分とひどい目にあったことは何度もあるし。
まあ…彼の自余にはいつ悪気はなかったけどね」
しかし、悪気がない方がひどいのではないだろうか。それはたいてい、トラブルメーカーとなるのだから。
「そうだな。でも、あの頃は楽しかったよ。
心も生活も…今ほどすさんじゃいなかった。
それを変えたのは……一振りの剣、か……」
「バルトアンデルス……」
呟くハーティア。
「時はもう、戻らない……失った全てを取り戻すために…
オレは…どうしてもやめられない」
それは、確かな決意。
「それには……僕のことも含まれているのかな?」
言って、オーフェンの顔に手を伸ばし、その頬に触れるハーティア。
「気付いてなかったはずは、ないだろう?」
「ああ、気付いていたさ。気になっていないわけじゃあなかった。
むしろ、そういう感情に近かったかもしれねぇな。もっとも…オレはそんな感情がわかるほど、心なんてものをわかっていたわけじゃあないがな」
オーフェンの顔が引き寄せられる。触れるだけの、どこか冷たいキス。
「今さら、だろう?」
そう言うオーフェンに反論するハーティア。
「僕の気持ちは変わっていない。いや、むしろ強くなっている!
けれど…僕は『塔』を裏切ることはできない。そう言う意味では、君をうらやましく思うよ。
だから……僕は今、キリランシェロが無事であることだけを、想っている」
ハーティアにとって…それが今出来る唯一のこと。
「全てが終わってからなら……何か、見つけられるかもしれない。
その時に、答えるよ。また、その時に会おう」
「ああ、全てが終わった後に…」
そう言ったハーティアは、「彼方へ…」と呟き、消えた。
失うもの、取り戻すもの、見つけるもの。
全てが交錯した後にあるものは………………
超シリアスなハーティア×オーフェン
ちなみに16話(海老男ふたたび)の後だと思って下さい
実際、コレ思いついたのは16話見た直後だったから 書いてる今は2週間近くたったけど…(爆) しかも、17話録画しただけで、まだ見てないし…とか思ってたら、録画にミスしていたらしい……(T-T)
いくつかの後回しにされてやっと出来上がりました
シリアスって性に合わないです…一苦労。好きだも愛してるもないし……いつもに輪をかけて暴れながら書きました(笑)
…はっ…! もしや次のも、好きも愛してるもない…?! いや…きっとすきぐらいはあるはず…多分……らぶらぶ度は高いんだし… なかったら…違う意味で壊れる…シリアスでらぶらぶ度低くて…ダブルパンチだったから…
実際、これ書いてる途中もおかしかった(^_^;) だから、なんかおかしいんですよ…文章 わずかならぶらぶ度が入ったあたり以降が…
たとえば、ハーティアが『塔』が全てってほどじゃない っていうのは、オーフェン好きだから ってことも入ってるし、『塔』が裏切れないってのは、手助けとか、オーフェンとかけおちしたいけど出来ないとかって意味入ってたりしてるんです そのかけおちってのは、昔よりも想いが強くなってるところに含まれてるんですが… ……あー…言いたいことうまく言えん……(^_^;)
これ書き終わったので、あと1つ書いたら一段落、とか思ってたら…また一個増殖するしね…(^_^;) おまえはいったい何なんだ?! じゃなくて、俺はいったい何なんだ?! って感じです(笑) いつになったら心安らげるひが来るのだろうか…(笑)
その日を夢見て頑張りま〜すっ それでは(笑)
(裏)