結婚狂想曲
「結婚、することになったの」
唐突に、淡々とアリステラに告げられた。
「…け、結婚て、どうして…?」
ショックで、目の前が暗くなる気がした。
「彼、とても強いのよ」
アリステラの隣にいるのは、アサシンクロスだった。
己を限界まで鍛え上げ、さらに上を目指す転生二次職と言われる職業だ。
未だ自分の限界すらも見えていないディシアでは適うはずがない。
「…おめでとう」
そう一言告げて、後ろを向いた。
自分も強くならなければいけない。時間は少しでも惜しい。
けれど、まずはイズルードに。自分の下宿先へと向かう。
「あたしもモロクに住むっ!」
そう叫んで荷物整理を始めようとした。が、おかしなことに気づいた。
自分はベッドの上に起き上がり、握りこぶしを固めていた。
「………夢?」
ここはイズルードの自分の下宿先だ。
あたりはまだ少し薄暗い。どうやら朝方らしい。
とりあえず今のが夢だとわかり、安堵する。が、それでもなんとなく気が急いてディシアは起き上がった。
軽食を作り、装備を確認して、まだ朝靄のかかっている外へと出る。
なんとなく、今日は少しでも長く狩りをしたい気分だった。
まだまだ先は長い。焦って無理をするのは禁物だが、気が向いたときは少し長く狩りをするのも悪くない。
朝靄がかかっている外はなんとなくまだ先の見えない自分のようで、ディシアはその中を歩き始めた。
アリステラさん結婚記念(?)話。
ホントはギャグになるはずだったのに何故かシリアス。本編においてもよかったんだけど、本来の設定と違うのでこっちに作成。
アリステラさんが結婚したときのディシアさんの行動として思いついたネタのひとつ。
他にも自棄酒でよっぱらって…てネタも考えてみたり。