DARK・SOUL
 サラズィア達がしんみりとしている頃、こちら側は、いろいろとあった。
「いいですか? 無断で1人で抜け出すのはもう絶対にやめて下さい。どれだけ心配したと思っているんですか……」
「じゃあ、許可を取って2人だったらいいのか?」
「いや、まあ、それも困りますけどね。
 でも、無断で1人で抜け出されるよりよっぽどましです」
「じゃあ、許可をくれ」
「あーなーたーはーっ。戻ってきた途端行くつもりですか! どれだけ不在にすれば気が済むんです!?」
「あ…いや…。あいつらといると楽しくて。
 何年ここを開けるかまではわからん」
 わずかな、沈黙。
(やばい、マジで怒らせたかな……)
「…………すみません……。
 28年前にあなたがここを抜け出したのは、きっと俺が原因ですね。
 本当はあんなこと言うつもりはなかったのですが…、忘れて下さいって言っても無理ですよね」
 ドキリとするほどせつなげなカオ。
(いや、うろたえてる場合じゃなくて…)
「原因はそれだけどな、確かに。
 でも、その後もずっといたのは、居心地がよかったからだな。
 人間界にいると楽しいし」
「…俺は…もうあなたは2度と戻ってこないかと思いました…」
「いくら何でもそういうワケにもいかねぇだろ。
 魔族の行動は俺に責任があるからな。統率をとっておかないと」
「…俺も、その統率をとるべき部下ですか?」
「な…にを…」
 思わずうろたえる。らしくない。全然俺じゃない。
「最初で最後にします。だから、教えて下さい。このままでは俺は、立ち止まったまま一歩も前に進めません。
 だから、もう1度言います。言うつもりのなかった言葉を」
 サフィアはそこで、1度言葉を区切り、そしてその先を続けた。
 あの時の言葉がオーバーラップする。
「『俺はあなたが好きですよ』だから、教えて下さい。あなたの中にある答えを。
 …考える時間は随分あったのでしょう…?」
 自分の感情を言うにはためらいがあった。自分でも、その感情を持て余している。
 本当にそういう感情なのかどうか、わからない。
 けれども、チャンスはこれ1度きり。後悔してからでは遅すぎる。
「俺は…多分サフィアのことが好きなんだと思う。
 部下だなんてことは最初から思ってなかったしな。
 隣にお前の気配がないと、どこか安心しない。人間界ならまだしも、特にこっちの世界だと、お前が側にいるのが当然だと思ってた。
 ずっと探そうとする気配すらなかったから、見捨てられたかと思ったぜ。
 これが本当に、恋とか愛とかまではわからないが、俺がお前を大事に思っていることは確かだ」
 ひどく、らしくないことを言っていると、自分でも思う。俺の顔には、わずかに血が上っているのではないだろうか。
「大丈夫ですよ。俺があなたを見捨てるなんて、絶対ありません。
 あの時は…原因が俺なのはわかっていましたから、しばらくそっとしておこうと思ったんです。
 でも、それであなたが不安になるなんて、思ってもみなかった。不謹慎かもしれないけど、嬉しいと思います。
 ゼルフェ様の答えがはっきり出るまで、待っていますから。
 とりあえず、今は、友達以上、恋人未満ということで」
 そう言って、一瞬だけ唇を重ねる。
 突然のことで、俺はただ、うろたえていた。
 サフィアはそんな俺を見て、くすくす笑っている。当然俺は、ふてくされてしまったが。
「そんなかわいい顔してると、威厳がなくなりますよ」
 かわいいって…俺がか?! 理解できん……。
「ほらほら、ふててないで。
 じゃあ、ゼルフェ様の機嫌が良くなることを1つ。
 出歩く許可をあげますよ」
「いいのか!?」
 さっきの不機嫌もなんのその。泣いたカラスがもう笑う(?)。単純だとは言わないでほしい。
「許可しますよ。
 同行するのは私ですが。とりあえず、他の上級魔族に任せるつもりですが、ゼルフェ様も欠片でもいいですから、意識を置いていって下さいね。
 でなきゃ、許可は出来ませんよ」
「本当にお前はしっかり者だな…。
 わかったわかった。それくらい置いていくから。
 本当に行っていいんだな」
 後でまた何か言われたらたまったもんじゃないからな。きっちり確認しとかないと。
「それで譲歩しますよ。
 ただし、重大なことが起きたときは戻ってもらいますからね。
 早く行きたいんなら、早く準備しないといけませんよ」
「意識は人間界に移動するときに分離していく。
 あ、ちなみに人間界での俺の名前はリアール・フェディだからな。いくら何でも、人間界でゼルフェを名乗るようなマネはしてないぞ。だから、間違ってもそう呼ぶなよ。あと、リアールでも様はつけるな。目立つからな。呼び捨てでいいさ。長いつきあいだしな」
「友人以上、恋人未満ですからね」
 そこにすかさず、サフィアの茶々が入る。
「とにかく! 呼び捨てにしろ。
 他の準備なんざいらねぇよな魔族には」
「ああ、そうですね。必要ありませんね。
 人間くさくなったんでしょうかね。私も」
「じゃあ、行くぞ。あいつらに置いていかれたくはないからな!」
「…全く…はしゃぎすぎですよ、リアール。
 まぁ、置いていかれるわけにはいきませんが」
 サラズィアとキアルスの驚いた顔を楽しみにして、2人は空間を渡った。

 うーん…リアールの外見イメージが某キャラだなんてわからんだろうな… なぜこうなったんだ……?
 確かに最初はくっつけようかとも思ったけど、オールギャグにしようと思ってやめたのに…… こいつらは……
 本編のサフィアもやっぱり、イメージキャラはいるけどね 怒っているところに らぶらぶやってるあたりはそのキャラ入ってないけど… でもまあ、この2つがわかる人間は多分いない…… わかった人は、メールか掲示板で聞いてみよう!(笑)
 まあ、これも1つの暴走だったんでしょうね……

  (裏)