小さな天使?
「マスター、どうして来ようと思ったんですか?」
ファリルが問いかける。
「さぁな? 暇だったからだろう。
異変ってのも見てみたかったしな。
まさかセラが女になってるとは……」
フレストルはそう言ってくすくす笑う。
「それだけ、ですか?」
なおも問いかけるファリル。
「……エリスさんの頼みだから、来たんじゃないんですか?」
「エリスの?」
関連性がわからず、きょとんとするフレストル。
「……なんなら、僕がエリスさんとの仲を取り持ってあげてもいいですよ……?」
ちくちくする胸の痛みを抑えながら、ファリルが言う。
「ファー? 何言って……」
「…今も、気になってるんでしょう…? エリスさんのこと……」
心が、ぎゅっとわしづかみされたように痛い。
けれど、ファリルは本当にフレストルさえよければそれでいいと思っていた。
(僕にはマスターが一番大事だから。全てにおいてマスターを優先する)
「確かに気になってはいるが、それは大きな勘違いだぞ、ファー。
元妻だから。あくまでも元、だ。それだけだよ」
(……本当に気になってるのはファリルだなんて……言えないよな……)
まさかそんな勘違いをされるとはフレストルは思ってもみなかったのである。
「じゃあ、気になっている女性はいないんですか?
それとも……………僕がいると邪魔ですか?」
恋をすると考えはどんどん悪い方向へと行ってしまう。ファリルはけっこうどつぼにはまっていた。
沈んだ瞳が今にも涙で濡れそうになっている。
「ばかっ! 何言ってる!!
おまえはオレが拾ってきたんだ。邪魔になるはずがないだろうっ!
ファーがオレから離れようとしないかぎり、ずっと一緒だ。な?」
思わず抱き上げ、そして抱きしめる。強く、強く。
「なら、ずっと一緒です。
僕はずっとマスターといますから。
言ったでしょう? 僕はマスターのものだって」
そう言って、フレストルを抱きしめ返す。
しばらく、そのまま抱きしめ合う。
「落ち着いたか? ファー」
優しい声。
「はい、すみません。ちょっと……」
言いにくそうに言葉の終わりを濁す。
(エリスさんに嫉妬してたなんて……言ったら迷惑になるだけだから……)
「いいさ。いつもおまえはしっかりしすぎてるからな。たまにはそうやって甘えろよ」
(本来、幼いはずのファリルを忘れそうになるから…)
「さ、もう寝な。何が起こるかわからないからな」
そう言って、ファリルをベッドに降ろす。
「はい、おやすみなさいませ。マスター」
ファリルはそのまま、すうっと眠っていった。
空間が揺らぐ。それに気付いて振り返るフレストル。
「ひどいわっ。わたしを捨てて、あの子の方を選ぶのねっ!」
芝居がかった口調。とてもよく知っている……
「………エリス……そういうところ、昔より磨きがかかったな……。
何か用か?」
「まあ、言うまでもなく冗談だけどね。
いい子ね、その子」
どこからか見ていた、ということだろう。
「ああ」
「好きだ、って言ってあげないの?」
その言葉にどきりとするフレストル。
「気付いてたのか…」
「アーウィスがセラを見てる瞳にそっくりだったから。まあ、フレストルにはうれしくないかもしれないわね」
「全くだよ。
ファリルに、か……。当分言うつもりはないさ。あいつは幼すぎる。言えるわけがない」
自嘲気味な笑い。
「でも、すぐに大きくなるわ。
魔力の強い人ほど長い間若い姿でいられる。時間なんていっぱいあるでしょう?
それに心だけなら、あの子はじゅうぶん大人よ」
アーウィスやエリス達の魔力が高すぎるだけで、いつも負けてはいるが、フレストルやファリルの魔力はかなり高い。その負けだって、作戦とタイミングの問題で、実力だけなら大して変わりないはずである。
「たしかにファーは大人びてるよ。オレよりもよっぽどかもしれないな。
でもあいつだってまだ子供だ。
この先どうなるかわからないのに、そんなこと言えるはずがない。
せめて本当に大きくなるまで待つさ」
そう言ってファリルの寝顔を見つめる。
「幸せそうね」
くすりと笑うエリス。
「ファリルがいてくれるおかげだよ」
そのファリルの寝顔は、まるで小さな天使。
――それはきっと、幸せの象徴――
最初から題名はファリルのつもりで書きました。
しかし、これもまた内容が……わけわかんない…とくに終わりの方が……
しかも、終わりのほう会話文ばっかりだし……
ホントはフレストルとファリル、もっとらぶらぶにしたかったんだけど、あれじゃただのいきすぎた親子関係OR主従関係ですね(^_^;)
あ、フレストルゥエリスも好きですよ
あとは、エリスとフレストルがもっといい関係っていうか、ホントに友人みたいな感じにしたかったんだけど… 大人の関係 みたいな感じで… 結局、ただ単にフレストルにハッパかけてるだけだし……(/_;)
しかもむちゃくちゃ妙な終わり方してるし……
無理矢理書き上げたせいかな… そのうち直すかもしんないです……(^_^;)
(裏)