矢が向かってくる 真っ白に光る矢が、ほら 何千本何万本何億本何兆本と 僕に突き付けられ 僕に収束され 僕に突き刺さり 僕に触れることなく通り過ぎる そして縄の目の凍り付いた 蜘蛛の巣の形の螺旋 突然僕の周りが輝き初めて 僕は生まれたような錯覚を信じる 脳の化学のアンバランス それが人生の目的であって 小さい頃に受けた両親の傷が 僕の世界中に散らばる羞恥心を 決定してしまった十三番目 そう、人は皆、十三番目の使徒 他の十二対のクリスタルは透過して 軽い嘘と重い嘘が グルグル、グルグル 神経が隅々に張り巡り 目と耳が心に吸い付けられ吸収され 自分の意味にとらわれて死にかけたアゲハ 全く醜すぎて涙が出てくるほどに固められていて その遺伝子的な知性の迷妄すらも ロマンの邪神の媚薬に溺れる 哀れな脳内麻薬的奉仕だと気づきもせず そうやって何時間も何年も何世紀も何万年も 星が終わって生まれて弾けて覆い尽くす季節まで そろそろ疲れたから、体を重ねて眠ろうと言い出すまで 全くこの冬に積もりきって崩れていく嘘と現実亡霊に 愛情の美しさと泥だらけな生活感を包み込んでいる だから 結局最初生まれたときに信じ込んだ あの暖かく素朴な愛の感覚こそが 見つけるべき答えの最終サンプルだと 気づくまでの夜遊びのような君の苦しみに 僕もまた同化していく、震えて 雲の彼方に溢れる誕生の光を 後腐れなく綺麗だと信じて 一生を振り返るのと同じ勢いで走れたら もうこれ以上君を引きちぎるためにこの手を 僕の魂から分離して溶鉱炉に放り込まない ああ、タペストリー、人生の半量体 雷鳴は空に透かしてみる宇宙に溶けて広がり 海から立ち上がる泡の一粒の中に潜むDNAの断片 摂取と排泄のように生々しく根本存在に響く言葉 光の矢、闇の矢、体中を駆けめぐる血球の矢尻 生まれてきたことを疑い、生きているもの、感じるものを疑い そうやって段々に海と山に沈んでいくもの達は孤独に冷えて 聖書の言葉の一番大切なところも 仏典に暴かれているけれど見ようともしなかった暖かさも 学ぶ度、悩む度、どんどんさらし者になって馬鹿げていくのは切ない だからこそ聖なる夜を創作してまでこの冴え冴えとした星空の上に 思い出すように明けていく自我のセントラルコアを投影した朝に 死にたくなるから、薬を飲んで生きながらえる 新しい年は新しい自分であるかのような 夢の狭間に押し潰された遠い日の動物のような可愛らしさ そういうものも僕に触れることなく通り過ぎた光の束と 同じかもしれないと感じる、自らに拘束されていると 朝が来て、夜が来て、そして朝は来ない 闇の中、冷たくて、でも雪や氷なら光のように明るい 朝が来ることよりも夜を力強く生きていたいから 雪のシャワーは清潔と新鮮、氷の暖炉は命を 再生を実体化させる週末の混沌に紛れて ちゃっかりお菓子をせしめる子供を どうか叱らないで下さい 彷徨い、彷徨われ、重なっていく全く異なった一つ一つ 雨のような雪のような矢を受けて再生を見た僕と 純粋な不純に酔いしれて死にかける君の この歴史をなぞるような情けない顛末を笑いながら 世界中の人々が元気に、元気に、元気に生きる! 生きている!生きている!生きている! 根源の欠落を感じて胸と腹の奥がむずがゆくて仕方ないのなら パズルのピースと同じように、新しい要素をあてがえば良い そうでなければ、茨の道を裸で転がって見せ物にされるか どちら向きに眠っても、壁か、あるいは本棚か 水を跳ね上げて源流を目指して走ろうと 生きている僕、生きている君 生命の躍動感をなくそうとするカンバスの描き殴り 破りたければ破れ、しかし君の胸は守り通せ 抱きしめるために、抱きしめるために