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「夢の続き」


さっきの続きを
見ています
僕がほんの少しだけ
君に嘘をついた
さっきの続きを
おそらく夢の中で
見ています

あそこで途切れたはずなのに
君にはわからないように
おやすみのキスで
別れたはずなのに
クロヌスのいたずらでしょうか
時間は再び
流れ始めて

水鏡に見とれて
命を落とす少年のように
美しく甘い
夢への誘ない
物語は現実に似て
君は気付かぬままだけれど
見透かされているようで

これは夢なのでしょうか
見透かしているのは
嘘だということを恐れている
この僕なのでしょうか
君は現実と変わらぬ優しさであり
僕は現実と変わらぬ嘘つきであり
物語は果てしなく

これが夢である
その証明が欲しくて
嘘つきのままに進んでいく物語から
目覚めようとするけれど
その度に鮮やかさは
加速度を付けて
僕にからみついて来ます

きっとこれは
想いとはうらはらに
繋げることができなかった
君との心の回線を
求める僕の寂しさなのです
その感情は少しだけ
恐怖に似ています

嘘つきな僕を恐れるのか
君の優しさが壊れていくのが
怖いのかもしれません
現実は夢の続き
現実は夢の続き
グルグルと回ってから
うっすらと目覚めるのです

悪夢とは呼べない
爽やかさがあり
そして現実が少しずつ
流れ込んできます
嘘は嘘のままに
君はおそらく君のままに
そう願いながら

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