たった一言を吐き出して死ぬことができたら その言葉は大地を打ち揺らし 全ての人の心と 君の人生を 熱くほとばしる無限の光で 埋め尽くし 幸せを生み出し続ける 永久機関となって そんな言葉を たった一言だけ 余計なものは要らない 僕自身をその一瞬だけに込めて ささやきでもいい 銀河に霞む波動でもいい さりげなくても 激痛を伴っていても 生命の奥底に潜むたったひとつだけの 僕の生まれてきたわけを 吐き出して死ぬことができたら 認識が風のようであったら 枠をはめることなく 君の全てを受け止めることができたら そよ風のように 薫風のように 吹かれるままに存在し 曝されるままに心地よく 待つのでもなく 恐れるのでもなく ただあるがままに意識にものぼらず 比較でもなく 作為でもなく 暴力に打ち破られることもなく 欲望に流されることもなく 優しさでもなく 悲しみでもなく 傷つけるのでもなく 傷つけられるのでもなく 夕辺に吹く風のように 両手を広げていることにも気付かぬままに 受け止めることができたら 人と交わるほど 優しさに触れ合うほど その孤独を増していく人たち その瞳の同情と 癒しをもって 空白の僕を 探し続ける命を 引きずり回していくのだろうか 人間という存在には 不可能だとわかっていることを せっかく生まれてきた僕は たくさんの愛に育まれてきた僕は 決して諦めたくはない 諦めるわけにはいかない 僕の血が流されていく いったい何のために そして誰のために 寒いよ 寒い 永遠に 終わることなく 祈り続けていくのだろう 風のような認識にたどり着くことを たったひとつの言葉を吐き出して死ぬことを