桝本うめ子書集より

あなたは1997.12.21以来番目の来場者です。


うれしいな

ねてあそんでいる

夢でもみているのかな

そうではないよ

神様のごほうび

うれしいな

すこし病気になって

手もふるえ

おもしろい

ちょっと淋しいけれど

これでいいのよ

おもいあがらないで

ゆきましょう

感謝 感謝ね


日本テレビ「知ってるつもり!?」(1997.12.21放送)より

 今日、日本テレビの「知っているつもり!?」を見て、感動し、皆様にご紹介しなければと思い立ち、急遽取り上げさせていただくことにしました。
 今回の放送で取り上げられたのは、桝本うめ子(1892.01.25-1992.04.28)という、山形県西置賜郡小国町にある基督教独立学園という高校で59才から100才まで書道教師をされておられた、素晴らしい先生であり、クリスチャンの方でした。

 基督教独立学園は、「欧米化されない日本人による日本のための基督教」を目指した内村鑑三の理想を実現すべく、内村の弟子鈴木弼美が、私塾から始めた学校で、今でも日本一小さな高校だそうです。
 聖書にのみ信仰の基盤を置こうとした内村鑑三の教え「読むべきものは聖書。学ぶべきものは天然。為すべきことは労働」をモットーとする学園の校舎には、「神を恐るるは学問の始め」の文字が書かれてありました。

 そんな学校で、書道の教師を誠心誠意務められたうめ子先生の側にいるだけで、なぜか生徒たちの心は温かく豊かになり、不思議な生きていくための力と勇気を与えられたそうです。
 説教をするわけでもなく、何を言われるわけでもないのに、なぜか心が落ち着き、ほっとすると語っていたドキュメンタリー監督。
 息詰まったとき、相談に行きたくなり、いざ行って先生にお会いしたら、それだけで満たされて何も相談せずに帰ってきてしまうのですと語っていた、卒業生でもある教師夫婦。
 何かと理由を見つけては、学校の近くにある先生の自宅にまでおしかける生徒たち。
 誰に言われるまでもなく、交代で先生の手を引き部屋まで送っていく生徒たちと先生の交流を目の当たりにして、教育のあるべき姿を見た思いがしたのは私だけでしょうか。
 先生の100才の誕生日を祝うために、凍り付くような寒さの中、外にたたずみハッピーバースデーソングを唱う生徒さんと卒業生たちの姿に涙があふれました。

 ここでご紹介したのは、桝本うめ子さんが、平成3年1月、99才で初めて入院されたとき、したためられた書だそうです。
 何もかもあるがままにすべてを受け入れ、感謝する信仰者の姿がそこにあります。

 この書集を編集された孫の桝本進さんのあとがきがすべてを語っていると思います。
「百歳になると肉体は急激に衰えていったが、筆は自由に走り出し止まらなくなった。筆が通ったあとは、もはや作品ではなく神様への手紙となった。」

 素晴らしい感動を与えて下さった桝本家の皆様、基督教独立学園の皆様、番組関係者の皆様、そして神様に感謝申し上げます。(文中敬称略)

1997.12.21(会田夏彦)


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