猫の事務所の絵 **ほんの1部**
大きな事務所の真ん中に、事務長の黒猫が、真っ赤な羅紗をかけた卓を控えてどっかり腰をかけ、
その右側に一番の白猫と三番三毛猫、左側に二番の虎猫と四番の窯猫が、
めいめい小さな卓を前にして、きちんと椅子にかけていました。
ある時、窯猫は運悪く風邪をひいて、足のつけねを椀のように腫らし、どうしても歩けませんでしたから、とうとう一日休んでしまいました。窯猫のもがきようといったらありません。泣いて泣いて泣きました。
納屋の小さな窓から射し込んでくる黄色な光をながめながら、一日目一杯目をこすって泣いていました。
みんな、ほんの時々、ちらっとこっちを見るだけで、ただ一言も言いません。
そしてお昼になりました。窯猫は、持って来た弁当も食べず、
じっと膝に手を置いてうつむいて居りました。
とうとうひるすぎの一時から、窯猫はしくしく泣きはじめました。
そして晩方まで三時間ほど泣いたりやめたりまた泣き出したりしたのです。
それでもみんなはそんなこと、一向知らないというように面白そうに仕事をしていました。