平成10年度前期アルコール・セミナーたより(No.6) 

(平成10年9月18日)



10月に入ると、ちらほらと紅葉のたよりも聞かれるようになりました。今年は雨が多かったので、紅葉の色づき具合はどうなのでしょうか。
 さて、9月18日に平成10年度前期アルコール・セミナ−の交流会及び修了式が行われました。
 交流会では、今までの講義のまとめとしてビデオ『シリーズ・アルコール依存症1、アルコール依存症とは』、『シリーズ・アルコール依存症2、アルコール依存症者の心理』を見ました。その後、ビデオを見た感想や、今までセミナ−に参加した感想等を語っていただきました。

【断酒者本人の感想】

★ビデオに出演していた飲酒者よりももっと自分の方がいろいろと凄まじいことをしていた。その時のことを思い出しながら見ていた。
★ビデオを見て思い当たることはあった。昼間からビールを飲むことがあった。今はセミナ−に参加して飲まずにやってこれている。
周囲の人に迷惑をかけていた。ビデオにでていた子供が自分の子供に重なってみえた。
★ビデオでの飲酒者と自分とを照らし合わせていた。自分もあんな人だったなと思う。セミナ−や、病院に通って変わったのは気分的に余裕が出てきたことだと思う。こんな気持ちを続けるにはセミナ−も続けたいと思う。
★妻が亡くなって1人になって最初は寂しかったが、今は少し慣れて1日断酒を続けている。
★飲んでいる時は家の中のものをよく壊した。ガラスを割ったりした。家族が交通事故で病院に運ばれて自宅に連絡が入った時も飲んでいた、しかし今は1日断酒を続けている。
★いろんな自助グループに参加した。アルコール依存症の子供という影響を引きずっているように見える。
★家族は酒を取り上げるばかりであり、自分は反発して飲んで買いに走っていた。止めた今はなぜあの時ああなったのかと思う。当時、一緒に入院していた人が亡くなり、その人の分も生きたいと思う。
★自分中心の飲み方をしていた。事実を認めず、嘘をついてきた。最初の1杯はうまい、飲みたいと飲んでいたが、途中からは分からなくなっている。深酒をして否認を続け精神科に行くまでは大変だった。
 今は飲んでいない。苦しんでいる人があれば、アドバイスとして自分の歩いてきた道を話すことはできる。飲まずに10年経ち、皆さんの前で話せるようになってきた笑顔で話ができるところがあることが分かった。


【家族の感想】

★依存症の家族が亡くなった。家族としてもっと受け止めてやれば良かったのではないかと思う。自分の気持ちの安らぎを求めるために何をすればよいか。子は子なりの世界を作ろうとしている。自分は一人の世界をどう作っていけばよいのか。
★アルコール依存症は家族のすべてを巻き込んでしまう。お酒を飲めば家族に負担がかかる。今は、本人は飲んでいない。「飲んでもいないし、飲みたいとも思わない」と家族に話してくれる。


アルコール・セミナ−では、病気に対する知識を身に付けることそして、お酒についてどう思っているのか、どうしていきたいと思っているのかについてみんなで考える場所でありたいと思っています。

 今年度前期のアルコール・セミナ−は修了しましたが、後期も10月よりスタートします。途中で参加できなくなった方も、継続して参加する方も大歓迎です。
 お待ちしています。
(文責:杉本留美)