平成10年度前期アルコール・セミナーたより(No.5) 

(平成10年8月21日)



 8月がすぎたとたんに、晴れた、暑い日が続いていますが、ススキや、虫の音など、少しづつ秋らしくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 さて、8月21日にアルコール・セミナ−第5回「酒のない生活に向かって−家族ができること−」をテーマに、谷野呉山病院 精神科ソ−シャル・ワーカー浜守さんに講演していただきました。その内容をご紹介します。

アルコール依存症のアウトライン

いらいらすることなど飲酒で紛らす。
慢性化し、死にいたる病気。
孤独感に陥り、ふさぎこんでしまい飲めればそれでいいという精
神的に落ち込んだ状態になる。
身体的には栄養失調や、消化器官の病気を引き起こす。
また、家庭や職場での人間関係が悪くなる。
性格的なもの(わがままや、甘えなど)からくるものではなく、
病気であるが、自分の病気が認められないという特徴がある。


アルコール依存症者と家族について
 世間体など、社会を構成するために依存症者の肩代わりを助けてしまうことがある。
   例・代わりに働くことなど
 家族は、血族集団(家族だから愛情を持って)であり、社会を構成する(世間体のために)要素である。
 アルコ−ル依存症者のいる家族は、家族を維持するためにアルコ−ル依存症者以外の人が世話を焼くとかお節介をするなどの行動をする→本人の役割にとって代わる・依存症者にとって都合がよい

家 族 が で き る こ と
◎病気を正しく知ろう
◎病気の治療を考えよう
家族がまず動くこと(相談する、体験する)
医療機関にかかること
自助グループの参加
家族全員でこの病気のことを考える
飲酒をコントロールすることは無理だということを知る
お酒を飲んでいるかどうかを見張ったりするくらいなら、その時間は自分のために使うのが良い。
◎飲酒に振り回されないようにしよう
 本人の理由は「○○が悪いから飲む」
  ○○を取り除いても  はなくならない。次の理由を常に考える。
    よって○○を取り除く努力をしても無駄。
◎家族が困らず本人が困るようにしよう
 後始末をしない
  例 借金の肩代わり、会社への電話(欠勤の連絡)
   →家族が嫌な思いをするだけ
   →本人は気付かない
 世間体を気にしても無理
 必死に隠しても(飲酒問題など)、人は意外に知っている。
◎子供には真実を伝えよう
 病的な家族の中で育った家族は、病的な部分を持ち合わせているところもあり、代々受け継がれる可能性が高い。
◎依存症者の言いなりにならない
 本人の健康な言葉と、病気が言わせている言葉を見分ける。
    →「死んでもいい」など
◎嘘をつかない(飲まない約束をしない)
 嘘つきになってしまうと、言葉の信頼性が失われる。
  例 「これ以上飲んだら離婚する」…しかし実際には離婚しないなど

座談会より
 吉本先生からのアドバイス
   ★ アイメッセージ ★
     自分の気持ちの伝え方
       わたしは・・・思うよ
       わたしが不安なんだけど・・・
                  というふうに伝えてみる。
       「あんたのために・・・」はやめた方がいい

 今回のアルコール・セミナ−はいかがだったでしょうか。
 前回は「本人ができること」今回は「家族ができること」でしたが、お互いがそれぞれの立場でできることから始められると、少しづつ気持ちの良い関係に、回復していくのではないでしょうか。
 では、次回は、平成10年度前期アルコール・セミナ−の最終回「交流会及び修了式」を行います。参加される方にはもれなく修了証をお渡ししますので、最近足の遠のいている方、ぜひご参加下さい。

(文責:杉本留美)