DV(ドメスティック・バイオレンス) |
飲酒に伴うさまざまな問題の中に、飲酒者(主に男性)の暴力問題がある。しかし、妻や子供に対して向けられる暴力が、家族の間や警察などの公的機関でも私的な問題として捕らえられることが多い。そのため、暴力行為に対して専門家や公的援助機関に相談したり助けを求める行動が少ないのが現状である。その結果として家族のメンバーが、自分たちでその問題の解決を図り、最後にアルコール依存症者を殺害するなどの痛ましい事件が発生し、その報道に接することも珍しくはない。 DVはdomestitic violence の頭文字をとったものであり、直訳すると家庭内暴力となる。家庭内暴力は、日本で通常は子供が家族への暴力を意味しているため、ドメスティック・バイオレンスつまりDVは、家庭内暴力という訳語を使わずそのままで呼ばれ、夫や恋人(パートナー)からの暴力を表す言葉として使われています。このDVとは、以下のようなさまざまな形をとり、決して身体的暴力だけではないのです。DVの意味するところが、一般に理解されるようになれば、女性への暴力は必ず減少の方向に向かうでしょう。 |
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このようなDVという用語がなかったこともあり、その実態が日本ではわからなかったのです。1998年に東京都から「女性に対する暴力調査報告書」が公表され、次のことが明らかになったと言われています。それは、一般社会が考えているよりも多い暴力被害(例えば身体被害33%)の数や、男性の学歴、地位、年収、職業、年齢などの社会階層と無関係な拡がりをみせていることです。 ではアルコール依存症の男性から妻への暴力はどうなのか、日本でははっきりしません。海外の報告では、batteringの25〜85%が飲酒と関係しており、知り合いによるレイプの75%がアルコールがらみだったと言われています。このことより、アルコールが関係しているDVは多いが、「家庭内の問題」とか、「あなたがもう少しうまくやれば良いのよ」とか、「男性は暴力を振るうのは当たり前だから我慢をしなさい」などの周囲の言葉により、なかなか問題になりにくかったのだと思います。妻が、社会が、これはDVだと言えるようになれば悲劇は少なくなるものと思われます。 しかし、今起こっているDVには役には立ちません。被害に遭った女性が逃げ込める空間の確保が必要になっていますが、日本では民間シェルターがわずかに存在するだけで、アメリカのように1200ヶ所もある実態とはかけ離れています。今後、この問題に対する行動が問われていくでしょう。 |