社会全体にとってのノーマライゼーションと福祉について



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 このページのここから下では、私見ですが、ノーマライゼーションや福祉が決し
て、障害者や高齢者を支えるために一般の人々が負担だけを被るのではなく、福祉
の推進は、一般の人々にとっても意味がある
ということを訴えたいと思います。

 さて、富山県民福祉条例をはじめとする福祉のまちづくりの背景にある基本的視
点には、障害を持った人たちが可能な限り通常の人々に近い生活をできるようにし
ようという「ノーマライゼーション」の考え方があります。

1 高齢者や障害者の能力を活かす

 「ノーマライゼーション」の考え方は、
 (1) 障害を持つ人々に、より人間らしく生きる権利を保証し、尊厳を持って生き生
  きと暮らせるようにする
ことを目的としますが、
 同時に、それによって、
 (2) 障害を持つ人々の能力やそのまわりで支える家族の能力を社会の中で発揮する
  道が開ける
という点で、社会全体にとっても大きな意義を持つものだと思いま
  す。

 各県などの福祉のまちづくり条例は、高齢者や障害者などの行動の障害をなくすた
めのハードの整備基準を定めていますが、このようなまちづくりが進めば、

 (1) ・ 高齢者
   ・ 障害者
   ・ 子ども達
   ・ 妊産婦
   ・ けがや病気のために一時的に行動が不自由になっている人々
  の活動を活発にし、それらの人たちの能力を社会の中で発揮させ、生き生きと暮
  らせるようにするとともに、
 (2) 介助を要する場面を減らし、そのための社会的なコストを引き下げることにな
  る思います。

2 福祉のまちは普通の人々にとっても快適な環境になる

  一方、例えば、障害者のために通路を広くとった建築物などは、普通の人々に
 とっても快適な環境
です。

  また、現在は一般に広く使われているテレビ等のリモコンスイッチが、大分県の
 障害者施設の要望を受けてメーカーが開発したものが原型になっていることや、
 マジックテープを使ったスポーツシューズも、元は高齢者・障害者向けに開発され
 たものであることなどを考えれば、障害を持った人々にやさしい施設や機器の整備
 や開発は、健常者にとっても快適で便利な生活を生み出すものであると思います。

 この意味で、福祉のまちづくりの推進は、高齢者や障害者などの福祉の向上を目指
すだけでなく、すべての県民に未来の豊かな生活を提供するものであると思います。


3 人々の心の障壁をなくせば

 一方、ノーマライゼーションの実現には、人々の心の障壁をなくすことも重要です。

 (1) 心の障壁がなくなることによって、例えば、日常の場面で、障害を持った人に
  対してちょっとした親切が行われ行動が助けられることになれば、介護者の常時
  同行を必要としない場面も多くなり、介護者に要する社会的な負担が小さくなり
  ます。
   同時に、(整備の努力は必要ですが)ハード環境の整備に関する社会的コスト
  を相対的に低くすることができます。
 (2) また、雇用主や従業員が、心の障壁を取り去り、先入観を排すれば、高齢者や
  障害を持った人々に、より広い働く場を与えることができます。

   それは高齢者や障害者に自己実現の機会を与え生きがいを生むだけでなく、高
  齢者や障害者の能力をより的確に社会に活かすことになると思います。

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