最近の真贋事情
このページでは美術品の目利き、鑑定法を簡単に紹介いたします。
贋物を買わない(つかまされない)一番の方法は、信頼のおける美術商から買うということですが
旅先、海外等で骨董ファンなら誰しも骨董の虫が騒ぎます。
そんな時、本物、偽物を間違わないために役立てば幸いです。
日本陶磁器
最近、染付皿類に精巧な贋物が出回り始めています。
古伊万里、初期伊万里、藍九谷、藍柿、そば猪口等すべてに精巧な贋物が
出回っています。これは、今まで出回った贋物のように(一目見ればすぐわかる)
というものでなく、大変精巧に造られ注意が必要です。
ここで見極めるポイントを述べますので頭の中へ入れておいてください。
1、口べにのあるもの 口べにが乾いた感じがする 本物の口べにには
しっとりした感じがある。
2、高台 全部ではないが高台の内側から土見せまで斜めになっている。
高台脇に輪線が引いてあるものは、その輪線の染付に乾いた
感じをうける
3、土 土味がやけに細かい(大聖寺伊万里の様に)
土が白っぽすぎる (鉄分がでて茶色であるべきものは、茶色すぎる)
4、見込 見込みの染付模様は、かなり精巧に造られているため見込みの
染付色だけでは判断しないほうがよい。
釉薬がやけにとろみをおびたものや,釉薬と染付がバランスが悪く
染付の発色が鮮やかすぎるもの等がある。
中国陶磁器
中国人は、昔からまねの達人といわれ数多くの贋物が造られています。
ここでは、中国の歴史が長いため代表的な物の見方だけを紹介します。
近年、目立って見かける贋物は明時代中期から明末の染付です。
明中期の染付の贋物
小物が多いようです。馬上杯や四方耳付き一輪生等
共に言えるのは,染付が乾いた感じ 染付がカスカスしている。
「染付が乾いた感じ」とは大変重要な事で李朝、日本、中国の染付の贋物に
共通して言えることです。
花生け、一輪生け等の高台内の土が赤茶色い。
その赤茶色部分に不純物が付いていたり、目の粗い砂が付いている。
明末の染付の贋物
古染向付、水指、梅瓶、芙蓉手他細かい物までいろいろとある。
古染の贋物は比較的わかりやすい。虫食いで見るのが一番。
贋物の虫食いは意図的に造ったもので,明らかに本物の自然な虫食いとは違う。
梅瓶、芙蓉手花瓶の贋物には図柄の良すぎるものが多い。
全体の形もどことなく違う。それと前にも述べたように染付が乾いた感じを受ける。
比較的大きいため染付の感じに注意して見れば案外わかる。
唐三彩
以前の贋物は貫入(じかん)の入り方が明らかに違っていたが、最近の贋物は
貫入も本物そっくりに入っている。
ポイント1 たたいてみる。本物は焼きがあまいため柔らかな音がする。
贋物は高い温度で焼かれているのか焼きしまった音がする。
ポイント2 釉の流れを見る。三彩釉の流れ方が明らかに違う。
ポイント3 はなれて全体の形を見る。これはかなり多くの唐三彩を見たことのある
人でないと難しい。全体の形が違う。
馬、駱駝、龍耳瓶、などはまず第一に全体の形を見るのがよい。
唐三彩の小さな物には色んな偽物が造られている。いまだかつて見たことのない
形のものもある。ほとんど生地は石膏で造り、その上から唐の土色をまねたものを
掛け三彩釉を施し意図的に風化させている。
その他 曜州窯,遼三彩,天目茶碗等の贋物に精巧な物があるため注意が必要。
朝鮮陶磁器
数年前,李朝ブームの頃にかなり精巧な贋物が造られている。
三島
三島の偽物は,象嵌の入り方で見分けるのがわかりやすい。
これは、高麗青磁にもいえることだが贋物の象嵌の入り方は、堅いのです。
本物のように柔らかみが無い。きっちりしすぎている。
そして、全体も堅く冷たさを感じる。
李朝
染付のはいった贋物は、前にも述べたように染付が乾いたような感じがする。
もちろん絵の描き方も違うが、素人に判断は難しい。
水滴、花瓶に贋物がよくある。
李朝白磁の真贋は、かなり難しいので信頼のおける店で買うことをすすめます。
以上、足早に紹介しましたが(どことなくおかしい)とか(ここはよいが、ここは変だ)など
少しでも疑問点が有る商品には手を出さないのが賢明だと思います。